・・・・・2011年度宇宙進化セミナー・・・・・

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*高本 亮氏(京都大学)

タイトル:相対論的散逸流体の物理とその宇宙物理への応用
日時: 4月13日(水) 14:00~
場所: F313号室

アブストラクト:
散逸とは非平衡状態にある気体が熱平衡状態へ達する過程で発生するエネルギー、運動量流束で、それぞれエネルギーと運動量の偏りを無くす方向に流れる。非相対論の流体近似では熱伝導と粘性を上記の考えから、それぞれエネルギー、運動量の空間勾配の一次に比例する形で表される。ところがこの近似は因果律を壊すことが知られており、相対論にそのまま適用しようとするとこの因果律の破れが原因となり非物理的な発散が起きることが知られている。 本発表ではこの相対論的な散逸の困難とその理論的解決策、そして最近の研究の進展について解説する。

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*佐合 紀親氏(京都大学)

タイトル:ブラックホール時空における質点の運動
日時:4 月20日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
二体問題は天体力学において最も基本的な問題である。ニュートンの重力理論では一体 問題に帰結することで簡単に解くことができるが、一般相対論における取扱いは容易で はない。これは、ニュートン理論にはない非線型性や重力波輻射が存在するためである。 一般相対論的二体問題を取り扱う手法としてポストニュートン法、ブラックホール摂動 法、数値相対論等が知られているが、ここではブラックホール摂動法に注目する。 ブラックホール摂動法では、二体系をブラックホール時空中を運動する質点でモデル化 する。この際、系の運動は質点の運動方程式で表現される。一般相対論的効果を考慮し た運動を得るためには、質点自身の重力場の影響、いわゆる重力的自己力を正しく導出 し、運動方程式に組み込む必要がある。本発表では、まず、ブラックホール摂動法にお ける重力的自己力の問題について概要を述べる。後半では、これに関する最近の研究に ついて簡単に紹介する。

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*土井 健太郎氏(甲南大学)

タイトル:低金属量のガス雲からの磁場の散逸
日時: 6月15日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
磁場は星形成において重要な役割を担っているが、ガスとの カップリングに関しては、初期宇宙と現在の星形成領域では大きく異なっ てい る。現在の星形成領域においては、ダストが電荷のキャリアとなり収縮の過程で オーム損失により磁場は大きく散逸すると考えられているが、最初 期の宇宙で の星形成領域ではダストが存在しないため磁場はガスに凍結したままになる。し かし初代星形成から現在の星形成の間の、どの程度の重元 素・ダストが存在す ると、磁場が散逸するのかはまだ分かっていない。我々は、低金属量のガス雲で の化学組成の進化、およびダストの電荷進化を計算 することにより、ガス雲と 磁場の結合の様子を調べ、 初代星以降の磁場の散逸を評価した。本セミナーで は、この結果について紹介し、磁場の散逸時期が星形成におよぼす影響について 議論する。

 


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岡崎敦男氏(北海学園大)

タイトル:Modeling gamma-ray binaries with Be stars
日時:9 月7日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
TeV gamma-ray binaries are a recently established, rare class of gamma-ray sources. Only four binaries show variable TeV emission. Given that all systems but one have Be stars, studying the interaction between the Be-star envelope and the compact companion is a key to understanding of physics of high energy emission from these systems. In this talk, I report on the results from 3-D SPH simulations of two TeV binaries with Be stars, PSR B1259-63 and LS I +61 303. For PSR B1259-63, where a relativistic wind from a pulsar interacts with a disk and wind of a Be star, we find that the disk passage of the pulsar, which previous models assumed, never takes place for a typical range of Be disk density. However, if the Be disk is very dense (base density~10^{-9} g/cm3), a pulsar wind bubble is created when the pulsar passes through/close to the disk, from which high energy emission arise. For LS I +61 303, where the nature of the compact object is not yet known, there are two competing models, the pulsar wind model and the microquasar model. Performing SPH simulations based on these models, we find that two models predict significantly different interaction structure. Such a difference should be detected by optical, high-dispersion spectroscopic observations.

 
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大須賀 健 氏(国立天文台)

タイトル ブラックホール降着・噴出流の輻射磁気流体シミュレーション :
日時:10 月12日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
ブラックホール周囲の降着流(降着円盤)は、高エネルギー 天体現象の起源と考えられている。ブラックホールに吸い込まれるガスの重力 エネルギーが転換され、円盤が明るく輝き、場合によってはジェットを噴出す るからである。我々は、多次元輻射磁気流体計算により、三種の降着円盤 (スリム円盤、標準円盤、RIAFに対応)を再現することに成功した。 特に、定常的なsuper-Eddington降着が実現可能であること、そして、 輻射で加速され、磁場で収束される新しいタイプのジェットが 噴出することを解明した。また、このsuper-Eddington flowは、 謎のX線天体ULXのSEDを再現できることもわかった。

 
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Stefano Pasetto 氏(college London)

タイトル ssipative phenomena in extended body interactions with an application to Local Group dwarf galaxies :
日時:10 月31日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
shall present an analytical and numerical study of dissipative phenomena involved during the orbital evolution of a dwarf satellite galaxy orbiting around a more massive galaxy. My goal is to reach a simple and qualitative description of the complicated connections between gas consumption processes (e.g. ram pressure, Kelvin-Helmholtz instability, Rayleigh-Taylor instability), tidal forces, and star formation processes in the context of the interaction between two extended bodies (with special attention to the dwarf galaxys dynamical regime). This theoretical approach based on the Navier-Stokes equations finds its observational counterpart in the generation of synthetic color magnitude diagrams. Finally, I will show how this theoretical description can be applied to a real case once a few more sophisticated tools are adopted from the theory of orbits.

 
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長倉 洋樹 氏(京都大学/早稲田大学)

タイトル: 大質量星の終焉から形成されるGRB
日時: 1月8日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
ガンマ線バースト(GRB)は宇宙論的距離で頻繁に発生している爆発的天体現象である。現在でもGRBがどのように形成されるかについてはよくわかってはいないものの、一部のGRBが超新星を付随させて発生しているということが観測的に確かめられ、特異な大質量星の爆発的終焉が何らかの形で一部のGRBと関連していることは確実である。本セミナーでは、大質量星終焉時からの超新星爆発およびGRB発生の理論モデルを紹介するとともに、我々が最近行った相対論的ジェットの数値シミュレーションの研究結果について紹介する。また、本研究結果をもとに初代星からのGRBの形成可能性についても議論したいと考えている。

 
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稲吉 恒平 氏(京都大学)

タイトル:初代銀河形成時の冷たい降着流による超巨大BH形成
日時: 2月22日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
初期宇宙(z>7)に存在する超巨大ブラックホール(>10^9 Msun)の起源として、 初代銀河(Tvir>10^4 K)の中で形成される超大質量星が注目されている。 最近の初代銀河形成のシミュレーションから、ガスは低温・高密度の フィラメント構造をつたいハロー中心部まで落下し、そこで衝突・衝撃波を 形成して高温・高密度(>10^4 K, >10^3 /cc)の状態が実現されることが分かってきた。 このような高密度のpost-shock領域では、ガス粒子の衝突解離により H2分子冷却が抑制されてガスは8000 K以下まで冷えられず、分裂により 10^5 Msun程度のガス雲が形成される。 そのガス雲はLyα冷却により等温収縮していき、更なる分裂は回避して そのまま超大質量星になると考えられる。 本研究では、初代銀河形成時にこのような過程で超大質量星が形成 される新しいシナリオを提案し、広い範囲のpost-shock条件の下で 超大質量星の形成条件が満たされることを明らかにした。 また、重元素による冷却効果が超大質量星の形成に与える影響についても調べ、 超大質量星の形成に影響を及ぼすような臨界金属度が10^-3 Zsun程度である ことを見出した。

 
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