・・・・・2009年度宇宙進化セミナー・・・・・

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*Cosimo Bambi氏(東京大学)

タイトル:Testing the black hole paradigm with future observations of SgrA*
日時: 5月13日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
Today there are several indications supporting the existence of black holes, but for sure no smoking gun. The possible observation and study of the shadow of the black hole in the Galactic Center could confirm the black hole paradigm and permit tests of GR in the strong field regime. In this talk, I will focus the attention on the test of the relation a < M and the possibility of the existence of objects more compact than standard black holes.

 
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*井上 剛志氏(国立天文台)

タイトル:超新星残骸における乱流と磁場増幅
日時: 5月20日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
超新星残骸は超新星爆発を起源とする非常に強い衝撃波が星間ガスを掃き集めることによって形成される。星間媒質は平均密度1/ccの diffuse gas が体積の大部分を占めるが、熱的不安定性の影響によりHI雲が diffuse gas の中に埋め込まれている。我々はそのような非一様媒質を衝撃波が掃き集める様子を磁気流体シミュレーションの手法で研究した(Inoue, Yamazaki & Inutsuka 2009)。その結果、非一様媒質を掃く衝撃波は衝撃波後面に遷音速乱流を作り出し、それによって生じる速度シアーが強い磁場増幅をもたらすことを見いだした。最大磁場は1mGに達し、強磁場領域の典型的スケールは0.05pc程度である。このような強磁場領域は最近超新星残骸中に発見された X-ray hot spot (Uchiyama et al. 2007)に対応するものであると考えられる。

 
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*関口 雄一郎氏(国立天文台)

タイトル:重力波スペクトルで探る連星中性子星の合体
日時: 6月10日(水) 14:00 
場所: F313号室

アブストラクト:
重力波の観測は、重力の非線形性が重要となる、強重力場に於ける重力理論の検証という観点から重要であるが、さらに、その非常に高い物質透過性から、重力波を「宇宙を見る新しい目」として用いる方法論も注目を浴びている。本発表では、最も有望な重力波源の一つである連星中性子星の合体による重力波のスペクトルから、合体ダイナミクス及び中性子星の状態方程式に関する情報を抜き出すという、最近の研究について紹介する。

 
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*馬塲 一晴氏(国立天文台)

タイトル:拡張された重力理論におけるファントムクロッシング
日時: 7月1日(水) 14:00 
場所: F313号室

アブストラクト:
 近年のIa型超新星の観測から、現在の宇宙が加速膨張していることが明らかになり、暗黒エネルギー問題と呼ばれている。この問題の研究方法は、大きく二つに分類される。一つは、何らかの新たな物質を導入する方法で、一般相対論の枠内での方法である。もう一つは、長いスケールで重力理論を拡張する方法である。  一方、近い過去、あるいは現在または近い将来において、宇宙の膨張率(Hubbleパラメタ)の時間微分の値が負から正へ移行する(した)可能性が観測的に示唆されており、ファントムクロッシングと呼ばれている。ファントムクロッシングとは、暗黒エネルギーの状態方程式(圧力のエネルギー密度に対する比)wの値が-1より大きな値(非ファントム相:宇宙の膨張率の時間微分の値が負)から-1(宇宙項の場合に相当:宇宙の膨張率は一定値)を経て-1より小さな値(ファントム相:宇宙の膨張率の時間微分の値が正)へ移行する現象である。  本発表では、ファントムクロッシングを実現する拡張重力理論を構築る。  参考文献:Phys. Rev. D 79, 083014 (2009) [arXiv:0810.4296 [hepth]]

 
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*川勝 望氏(国立天文台)

タイトル:ガス降着による超巨大ブラックホールの形成
日時: 7月8日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
銀河中心には太陽質量の100万倍から10億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールが存在すると考えられている。超巨大ブラックホール形成の難しさは角運動量輸送の問題、つまり、いかに銀河の大きさの約10桁も小さい領域に大量のガスを集めるのか、にある。しかし、銀河内のガスの持つ角運動量を全て引き抜き、直接ブラックホールへ降着させることは難しい。そのため、銀河スケールで角運動量を失ったガスは銀河中心領域にガス円盤(銀河核ガス円盤)を形成することが予想される。したがって、超巨大ブラックホールの成長を考える上で銀河核ガス円盤の進化とブラックホールへの質量降着を整合的に取り扱うことが重要となる。そこで、我々は銀河からのガス供給とそれにともなう銀河核ガス円盤の進化を考慮した「超巨大ブラックホールと銀河核ガス円盤の共進化モデル」を構築した(Kawakatu & Wada 2008)。 本講演では、この理論モデルを用いた(i) 赤方偏移6を超える明るいクェーサー形成、(ii) 超巨大 ブラックホールの最大質量に関する最近の研究を紹介する。最後に、ガス降着による超巨大ブラック ホール形成理論の問題点について述べる。

 
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*斎藤 貴之氏(国立天文台)

タイトル:衝突銀河におけるショック励起スターバーストと星団形成
日時: 9月30日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
近傍の相互作用銀河の観測から、銀河同士の相互作用により星形成が誘発されてスターバーストを起こし、かつそこでは大量の星団が形成されていることが示唆されている (たとえばアンテナ銀河はその好例である)。しかしながら、従来の銀河衝突のシミュレーションでは、特に初期遭遇時のスターバーストは再現できておらず、また、分解能的に星団形成については解らなかった。
我々は、低温高密度ガスまで分解した高分解能銀河衝突シミュレーションを行い、(1)銀河同士の衝突によるショックによって形成されたガスフィラメント中でスターバーストを起こしうること、(2)そのとき生まれた星が星団を形成することを直接的に示した。今回のセミナーでは、我々のシミュレーションによって初めて得られた具体的な星団形成過程の詳細を報告する。
銀河同士の衝突により星間ガスがショックで圧縮され巨大なフィラメント構造が形成される。このフィラメントは非常に高密度かつ低温のガスからなるため、形成後すぐに星形成を起こし、フィラメントに沿った帯状の星形成領域が発生する。この星形成領域の中でも特に密度の高かった領域を中心にして星が集まり多くの小さな星団が形成される。そしてこれら小星団がさらに合体成長することで、最終的に $10^{6-8}$太陽質量の星団になる。これは、ジーンズ質量が $\sim 10^6$ 太陽質量程度の分子雲からそこの平均密度による自由落下時間で高効率な星形成が起こり星団が形成されたとする古典的な描像と大きく異なる。

 
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*富永 望氏(甲南大学)

タイトル:超新星爆発:観測からの示唆
日時: 10月21日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
太陽の8倍を超える大質量星は一生の最期に重力崩壊型超新星爆発を起こす。超新星爆発は光度曲線・スペクトル観測から、その性質、特に爆発エネルギー、爆発物質の質量、光度曲線のエネルギー源である56Niの質量といったものを見積もることが可能である。現在の宇宙における超新星観測から明らかになった超新星爆発の性質について紹介する。 一方、宇宙初期における超新星爆発は初期宇宙の化学進化に影響を与え、観測的に金属欠乏星の元素組成などから宇宙初期の超新星爆発の性質が明らかにされている。宇宙初期の超新星爆発の性質について紹介し、現在と宇宙初期の超新星爆発の性質について議論したい。

 
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*Prokhorov Dmitry氏(Korea Astronomy and Space Science Institute)

タイトル:ICM, NEI, SZE, NTE, ETC
日時: 1月26日(火) 15:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
Galaxy clusters are very important giant astrophysical laboratories in which one can study many interesting physical phenomena on giant scales. X-ray spectroscopy and analysis of the Sunyaev-Zeldovich effect play a crucial role to study interesting phenomena such as non-equilibrium ionization, non-thermal particle populations in galaxy clusters. The influence of high energy electron populations on measurements of metal abundances and on the He-like to H-like iron line ratio is considered. Measurements of the spectral slope of the Sunyaev-Zeldovich effect are proposed to obtain unbiased information about the specific properties of various electron distributions. It will be shown that the non-equilibrium ionization of iron can occur in galaxy clusters if the baryonicover-density is smaller than 11.0/tau, where tau << 1 is the ratio of the hydrodynamic structure age to the Hubble time.

 
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*森 正樹氏(立命館大学)

タイトル:Fermi Observation of Clusters of Galaxies
日時: 2月10日(水) 14:00〜
場所: F313号室

アブストラクト:
2008年6月に打ち上げられたFermi宇宙ガンマ線衛星は順調にデータを収集しており、2009年8月にはデータ公開が始まり、初期成果は2009年11月のシンポジウムで報告され、2010年1月には1451個のガンマ線天体を載せた1年点源カタログが発表されている。 このカタログにない天体については、公開ツールを用いて自分で公開データを探索する必要がある。 今回のセミナーでは、Fermi衛星公開データの解析方法について簡単に紹介したのち、銀河団、特にチェレンコフ望遠鏡で既に観測され上限値がつけられている銀河団からのガンマ線放射の探査について報告する。

 
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