・・・・・2006年度宇宙進化セミナー・・・・・

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*渡会 兼也(大阪教育大学)


タイトル:エディントン光度を超える天体と超臨界降着流

日時:4月26日(水)午後2:00から

場所: 3階セミナー室


アブストラクト:
近年、系内のマイクロクエーサーGRS1915+105や、近傍銀河に見つかっている超 大光度X線源、中間質量ブラックホールの候補天体であるM82 X-1、狭輝線セイ ファート1型銀河など、理論上の上限光度(エディントン光度)を超えて輝く非 常に明るい天体の存在が明らかになってきた。しかし、今まで成功を収めてきた、 降着円盤の標準モデルや光学的に薄い移流優勢流、所謂ADAFモデルでは、これら の天体の光度を説明できない。問題は、そのような大きな光度をどうやって生み 出すか?であるが、そのメカニズムの一つとして“超臨界降着流モデル”が近年 注目を集めている。降着率が大きくなった場合、円盤構造がどのように変化し、 その結果観測的な特徴がどうに変わるのか?今回のセミナーでは超臨界降着流の 物理的な諸性質と観測的な示唆について紹介する。

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*小林 千晶(国立天文台)


タイトル:宇宙の化学力学進化シミュレーション:銀河の形成と進化

日時:4月19日(水)午後2:00から

場所: 3階セミナー室


アブストラクト:
WMAPによる宇宙背景放射の観測から宇宙の初期条件が決まり、 CDMによる構造形 成はほぼ確かなものとなったといわれる。しかし、バ リオンの進化については ほとんどわかっていない。ガスが冷えて星が生 まれ、銀河が形成される。星は 超新星爆発を起こして星間空間に重元素 を放出し、温めて星形成を抑制する。 我々は並列SPHコード GADGETに極超新星やIa型超新星などの物理過程を導入し、 宇宙の 化学力学進化をシミュレーションする。それをLBG銀河、 DLA系、IGMな どのさまざまな観測と比較することで、銀河の星は いつどこで生まれたか、大 質量銀河は古いか?、重元素はどのように分 布されるか、銀河風として銀河か ら銀河間空間へ?、銀河の質 量-金属量関係の起源は何か、などの問いに答えた いと思う。

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*山崎達哉(京大基研)


タイトル:重力崩解型超新星の停滞衝撃波とその安定性

日時:7月5日(水)午後2:00から

場所: 3階セミナー室


アブストラクト:
重力崩解型超新星は、大質量星が重力崩解して起こると考えられている。崩解に よって中心に中性子星が形成され、その上に落下した外層は跳ね返され、衝撃波 が外向きに伝播する。この衝撃波が星の表面に達すると超新星として観測される。 これまでの超新星の研究は、主に数値シミュレーションによって行なわれてきた。 それらによると、衝撃波は途中で停滞し、爆発は再現できないため、衝撃波が表 面まで到達する機構はよく分っていない。ここでは、停滞する衝撃波を表わす定 常解を求ることにより、停滞する衝撃波の振舞いを考察する。まず、衝撃波が外 に向けて進行するための条件を考察する。さらに、衝撃波と降着流の安定性につ いて議論する。

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*水田 晃(Max-Planck-Institute for Astrophysics)


タイトル:コラプサーからの相対論的アウトフローとGRB

日時:9月13日(水)午後2:00から

場所: 3階セミナー室


アブストラクト:
ガンマ線バースト(GRBs)のセントラルエンジンとして大質量星の重力崩壊にとも なう(極)超新星爆発との相関が近年観測的にも示唆されてきている。他方で、ピー クエネルギーが X線領域にシフトした、 GRB と同様のイベントが観測されてい る(X線フラッシュ:XRFs)。コラプサーモデルでは親星の早い自転の効果によって、 非球対称に爆発することによってGRBで要求されているジェット状のアウトフロー を形成できるとされているが、どのようなアウトフローが形成されるかは不明な 点が多い。そこで、全エネルギーを固定し、様々な熱・運動エネルギー比をもっ たアウトフローの伝搬を、形成が期待される親星中心付近から親星を突き破るま で相対論的流体シミュレーションでフォローした。結果、アウトフローの形状は その速度によって収束した形状から(ジェット)、伝搬方向に対して横方向に大 きく広がることが分かった。このような形状の違いは、BRBs,XRFs,そしてGRB を 伴わない超新星爆発を統一的に説明できる可能性を示している。また、GRBとな り得るジェット状のアウトフローが親星表面をつき破った後、どのように星間空 間に広がっていくのかを、スケールを広げたシミュレーション結果から議論する。

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*奥住 聡 (京大人環)


タイトル:Acoustic Black Holes --- ブラックホール物理を実験室で検証する ---

日時:9月27日(水)午後2:00から

場所: 3階セミナー室


アブストラクト:
ブラックホールとは、光が脱出できない天体である。一方、音速点を持つような 流体の流れ(遷音速流)を考えると、音速点より下流では背景流が音速より速い 速度で流れているため、背景流上の摂動である音波は上流にさかのぼって進むこ とができない。このように、音速点より下流に入ってしまった音波が二度と音速 点より上流側に戻れないことから、遷音速流のことを「音響ブラックホール」 (acoustic black hole)と呼ぶことがある。本発表の前半では、ラバール管を 用いて音響ブラックホールを実験室に構成する方法と、さらに応用例の1つとし て、音響ブラックホール中の音波を使ってHawking輻射を検証する方法を紹介す る。後半では、発表者による数値シミュレーションの結果から、音響ブラックホー ルに本義ブラックホールと同様に準固有振動モードが存在することを示す。

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*河北秀世(京都産業大)


タイトル:NASA/Deep Impact:彗星核内部探査実験とそのインパクト

日時:10月23日(月)午後2:00から

場所:6階会議室


アブストラクト:
2005年7月4日に行われた9P/テンペル彗星への衝突機突入により、初め て彗星核の内部についての情報が得られた。彗星は原始太陽系円盤中の大惑星領 域およびカイパーベルト領域で形成されたと考えられ、二つのグループに分類で きるとされている。しかし、衝突実験前の観測からカイパーベルトに起源を持つ と考えられてきたテンペル彗星において、その内部物質は大惑星領域に起源を持 つグループと非常に似た性質を持ってることが明らかになった。セミナーでは、 Subaru、Keck、VLTなどの地上望遠鏡によって講演者が行った観測から、明らか になりつつある彗星の起源について紹介する。

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*瀬戸直樹 (カリフォルニア大学アーバイン)


タイトル:背景重力波の円偏光モード探査

日時:12月15日(金)午後2:00から

場所:6階会議室


アブストラクト:
重力波は透過性が非常に高いために直接検出が難しい。しかし、他の天文観測手 段では調べることが出来ない情報が重力波観測によって手に入れられるはずであ る。特に背景重力波は極初期宇宙の状態を探るための重要な化石であると期待さ れており、どのような性質を観測的に捉えることが可能になるか興味がもたれる ところである。右巻きと左巻きの波の振幅の非対称性を示すストークスパラメー ター"V"の値はパリティ対称性の破れと密接に関連しており、背景重力波にV=0か らのずれが確認されれば非常に面白い。このセミナーでは「レーザー干渉計を使っ て背景重力波の円偏光をどのように調べればいいのか?」、「LISAやDECIGOを使っ て何が出来るか?」等について分かりやすく解説する。

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*広谷幸一 (National Tsing Hua University, TIARA)


タイトル:Do Active Galactic Nuclei Jets Consist of a Pair Plasma?

日時:2月21日(水)午後2:00から

場所: 3階セミナー室


アブストラクト:
I investigate whether the parsec-scale jets of quasars 3C 345 and 3C 279 are dominated by a normal (proton-electron) plasma or a pair (electron-positron) plasma. I first present a new method to compute the kinetic luminosity of a jet by using the core size observed at a single very long baseline interferometry frequency, assuming a power-law energy distribution of radiating particles. The deduced kinetic luminosity gives electron densities of individual jet components as a function of the composition. I next constrain the electron density independently by using the theory of synchrotron self-absorption. Comparing the two densities, one can discriminate the composition. I apply this scheme to the 3C 345 and 3C 279 jets and discuss the possibility of pair-plasma dominance in these two blazer jets.

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