・・・・・2005年度宇宙進化セミナー・・・・・

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*4月20日(水) VSOP-2チーム(村田 泰宏, JAXA; 亀野 誠二, 国立天文台)

タイトル: 次期スペースVLBI計画「VSOP-2」の概要と科学目標
(宇宙進化/X線天文グループ 合同セミナー)

アブストラクト:
世界初の電波天文衛星「はるか」を用いたスペースVLBI計画「VSOP」に続く
「VSOP-2」を、次期スペースVLBI計画ワーキンググループで計画中である。
VSOP-2は、観測周波数8, 22, 43 GHzの3バンドで205, 75, 38 μ秒角という人類
未踏の高空間分解能の撮像を可能にする電波干渉計であり、2011年の打ち上げ
をめざしてJAXA(宇宙航空研究開発機構)へ提案中である。「VSOP」に比べ
て約10倍の高周波化, 10倍の高分解能, 10倍の感度向上, 両偏波観測, および位相
補償観測モードを実現する見込みで、大幅な性能向上が期待される。めざす科学
目標は宇宙の極限状態の解像であり、具体的には近傍の活動銀河核における降着
円盤+ブラックホール系の撮像, ジェット生成領域の磁場構造の解明, 原始星磁気
圏の磁場構造の解明、などが大きな柱である。本講演では、VSOP-2の観測性能
およびサイエンスワーキンググループで検討された科学目標を紹介することで、
どのような観測を行うと面白いかを考えていただくきっかけとしたい。

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*6月15日(水)原田 知広 (京大)

タイトル:原始ブラックホールの成長

アブストラクト:
原始ブラックホールは初期宇宙の姿を現在に伝える貴重な化石である。
現在の観測的事実から初期宇宙に関する情報を得るには、
原始ブラックホールの質量降着の問題が極めて重要である。
ここでは、原始ブラックホールの大きさとその成長に関して
手短かに概観した後、スカラー場宇宙における原始ブラックホールの
成長に関する一般相対論的数値シミュレーションの結果を提示する。
そして、数値結果や物理的な議論を通じて、この場合には
原始ブラックホールへの質量降着が一般相対論的な宇宙膨張の効果
によって強く抑制されることを示す。さらにこの数値結果によれば、
重力記憶仮説が非物理的であることもわかる。
より一般的な状況での原始ブラックホールの成長についても考察する。

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*9月2日(金)小林 史歩 (Penn State/Liverpool)

タイトル: ガンマ線バースト - Swiftの観測結果とその意味すること
日時:9月2日(金)午後3:30から
場所:F608号室

アブストラクト:
昨年11月に打ち上げられたガンマ線バースト観測衛星Swiftの最新の
観測結果とその理論的解釈に関してお話していただきます。

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*9月7日(水)富沢 真也 (大阪市大)

タイトル:矢野テンソルに付随した保存量とその正値性
日時:9月7日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
エネルギーの下限の存在は、物理系の安定性を保証する上で、最も基本的な
要請である。漸近的な平坦な時空では、エネルギーの正値性がすでに証明され
ているが、pブレーン解とブラックストリング解のエネルギーの定義やその
正値性の保障については、定かではない。これらの解のエネルギーは、
矢野テンソルに付随した保存量として、Kastor & Traschen (2000) に
定式化され、Y-ADM質量密度と呼ばれている。本発表では、pブレーン解と
ブラックストリング解のY-ADM 質量密度の正値性について議論する。

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*10月19日(水)石津 尚喜 (京大)

タイトル:原始惑星系円盤ダスト層でのシアー不安定性
日時:10月19日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
原始惑星系円盤においてμmサイズのダストから、kmサイズの微惑星の形成
過程は十分に理解されていない。現在、微惑星の形成には2つの道筋が考え
られている。一つは、ダストの非重力的な集積によるもの。もう一つは、
円盤中心面に沈殿したダストの自己重力による形成、つまり、ダスト層で
生じる重力不安定による形成である。今回、重力不安定による形成の可能性
を探る。
ダストの付着メカニズムによらないという点で重力不安定による形成は有望
であった。しかしながら、重力不安定説に疑問が投げかけられたのは、円盤内
に乱流が生じると中心面からダストが巻き上げられるため、自己重力による
ダスト層の分裂が生じるまでダストの沈殿が進まないということにある。
さらに問題なのは、ダスト層で生じるシアー不安定性により、円盤に他の
乱流源なくてもダスト層では乱流状態になってしまうことである。
このシアーは、ガスは圧力勾配がかるためケプラー速度以下で中心星を公転
すること、ダストはケプラー速度で公転しようとすることに起因する。
ダストとガスがお互いに及ぼす抵抗により質量の大きなほうに引きずられる
ことになるので、ダスト層ではケプラー公転をしようとする。一方、ガス層
ではケプラー速度以下で公転することになる。ダストの質量に依存してダスト
層では円盤面に対して鉛直方向のシアーが生じることになる。このシアーに
より流体力学的に不安定となったダスト層が乱流状態になり、ダストが
巻き上げられることになる。シアー不安定性の数値シミュレーションを行い、
その結果から重力不安定による微惑星形成の可能性を議論する。

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*11月2日(水)岡 光夫 (京都大学、花山天文台)

タイトル:準垂直衝撃波における電子加速の観測的研究
日時:11月2日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
地球バウショックにおいて電子が加速されることは
1970年代からしられていたがその定量的観測はされておらず、
また、シミュレーション研究においても計算機能力の
制限から加速効率の議論がなされていない。

そこでGeotail衛星によるバウショックの観測を通じて
電子のベキ型エネルギースペクトルを調査した。
セミナーではその結果がホイッスラー臨界マッハ数に
強く依存することを示すとともに、具体的な加速機構に
ついても議論する。

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*11月16日(水)町田正博 (京都大学、天体核)

タイトル:磁気星間分子雲からの星形成
日時:11月16日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
分子雲からの星形成過程で、星間磁場はディスクの
形成やアウトフローの駆動など大きな役割を果たす
と考えられている。しかしながら、これらの現象は、
光学的に厚いガス雲の内部での現象であり、直接観
測することは出来ない。そのため数値シミュレーシ
ョンによる理解が必要となる。

我々は、3次元MHDシミュレーションを用いて磁気
星間分子雲の収縮過程の研究を行った。その際、多層
格子法という手法を用いて低密度の分子雲から星が出
来る高密度のコアまでの直接計算を可能にした。その
結果、(1)初期に分子雲が持つ磁場と角速度は等温収縮
期にある値に収束する、(2)初期に分子雲が持つ磁場と
角速度の比によって、連星になるか、単星になるかが決
定される、(3)分裂して連星を形成する場合には、両方
の分裂片からアウトフローが駆動されることなどが分か
った。
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*11月30日(水)立原 研悟 (神戸大学)

タイトル:近傍星形成領域における高密度分子雲コアの観測的研究
日時:11月30日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
星形成の現場である分子雲コアの物理的特徴は、星形成の初期条件を決
める非常に重要な研究対象である。しかしそれらは光学的に厚い高密度の
ガスとダストからなり、またサイズも小さいため、これまでの観測的研究は不
十分であった。特に星形成直前と考えられる段階では進化のダイナミカルな
タイムスケールも短く、統計的に有為なサンプルを得ることも困難であった。
近年、ミリ波・サブミリ波、および赤外線観測装置の技術的進歩によって、
これら分子雲コアのサンプルは、その質、量ともに飛躍的に向上した。
分子輝線の観測からは、コアの乱流的内部運動が進化を司っていることが示
唆された。また電波の連続波観測からは、class 0天体と呼ばれる、 コアに深く
埋もれたごく若い原始星の存在が示された。また近赤外線の測光観測では、
Bonnor-Ebert球でよく近似される密度分布を持つことなどが分かった。
これら近年の観測的トピックと、今後期待される展望に関して紹介する。
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*1月12日(木)上田佳宏(京都大学)

タイトル:X線サーベイで探る活動銀河の宇宙論的進化とX線背景放射
日時:1月12日(木)午後3:00から<-----通常と曜日・時間が違います
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
最近の観測で、近傍に存在する銀河中心のほとんどに巨大ブラックホールが潜
んでいることがわかってきた。これら巨大ブラックホールは一体どのようにし
て作られてきたのだろうか?これは、宇宙全体の進化を理解するために不可欠
な、現代天文学に課せられた重要課題の一つである。X線サーベイは活動銀河
を探すもっとも効率の良い観測手段であり、その宇宙論的進化を明らかにする
ことはX線天文学の長年来のゴールでもあった。本セミナーでは、X線で見た活
動銀河の宇宙論的進化とX線背景放射の理解の現状をまとめ、今後の研究の展
望を紹介したい。
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*1月18日(水)松田有一(京都大学)

タイトル:すばるで見えてきた高赤方偏移フィラメント状 大規模構造と巨大銀河形成の現場
日時:1月18日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
銀河はいつ、どこで、どのようにでできてきたのであろうか?
私達は日本の大型可視近赤外線望遠鏡である、すばる望遠鏡を用いて、
赤方偏移z=3.1(約20億歳の若い宇宙)の原始銀河団領域とその周辺の
Lyman alpha 輝線天体(Lyman alpha 輝線を強く発する、小さくて若い
星形成銀河)探査を行った。その結果、(1) Lyman alpha 輝線天体の
高密度領域が60Mpcを超える大規模なフィラメント状構造を持つこと、
(2) この高密度領域にそって、Lyman alpha 輝線で空間的に大きく
ひろがった天体(Lyman alpha blobs)が多数存在すること、(3) Lyman
alpha blobs は Lyman alpha 輝線速度巾が大きく、さらに、明るい
遠赤外線ダスト放射を出すものが多いこと、をつきとめた。(1)、(2)の
結果は、大スケールで見ると、銀河はフィラメントやシート状の質量の
高密度領域に沿って形成されていくという"バイアスされた銀河形成"で
理解できると考えられる。(3)の結果は、Lyman alpha blobsが大きな
システムを持つことを示唆している。つまり、この観測により、
大スケールの銀河の選択的形成領域における巨大銀河形成の現場を
とらえることができたと考えている。今後、Lyman alpha blobs
の観測により銀河形成過程におけるガスの役割(ダークハロー中での
放射冷却によるガス収縮、銀河風による銀河間空間への重元素汚染)を
探って行くことができると期待される。
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*2月15日(水)長島 雅裕(京大)

タイトル:星間ガスの非平衡ダイナミクスとパターン形成
日時:2月15日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
銀河内の星間空間に存在する希薄な星間ガスには、熱的に安定な二つの相
(T=10^2K程度の Cold Neutral Medium[CNM]、T=10^4K程度の Warm Neutral
Medium[WNM])が存在し、圧力平衡にあると考えられている。これらの相がどの
ように進化するかを理解することは、星形成や銀河進化とも関連し重要である。
星間ガスは輻射を通じて外場との熱的な相互作用のある開放系の圧縮性流体力
学として定式化ができ、またその相互作用が二つの安定点を与えることから、
Ginzburg-Landau 的な描像で捉えることも可能である。この時、各相の進化は
CNM/WNM相間の界面の運動として記述されることになる。今回は、界面の運動
についての最近の結果について紹介し、シミュレーションとの比較や、界面の
運動と関連する星間乱流、また最近の観測結果などについてもコメントする。


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*2月15日(水)鈴木 建(京大)

タイトル:波動/振動駆動型恒星風の加速機構
日時:2月15日(水)午後4:00から<-----通常と時間が違います
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
中小質量の主系列星、並びに、赤色巨星は表面対流層を持っている。
恒星外層では、この対流起源の様々な波動過程が働いていると推測され、
質量放出機構の主要な役割を果たしていると考えられている。
主系列から準巨星段階では、外層は100万度を超えるコロナ状態となっており、
そこからは高温の恒星風が吹いている。恒星がさらに膨張し赤色巨星段階とな
ると、コロナが消失し大きな質量放出率を持つ冷たい恒星風が吹くようになる
ことが、観測的に知られている。

本発表ではまず最初に、主系列星である太陽外層での、波動によるコロナ加熱と
星風加速について説明する。そして、HR図上で恒星が進化するに従い、どのように
質量放出率等の外層の物理状態が変化するかを述べる。

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*2月22日(水)井上昭雄(大阪産業大学)

タイトル:銀河からの電離光子と宇宙再電離
日時:2月22日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
観測的宇宙論に残された大問題である宇宙再電離過程について議論する。
遠方QSOのスペクトルとWMAPにより、宇宙再電離過程はz=20程度から始まり
z=6程度で完了したと考えられる。しかし、どのように再電離が進行したのかは、
いまだ明らかにはなっていない。宇宙再電離過程のモデル化は多数行なわれているが、
光源の電離光子放射率や銀河間空間への脱出率が不明であるため、
現状ではさまざまなシナリオが可能である。今回の講演では、
シナリオの絞り込みについて、われわれが最近行なった二つの研究を紹介する。
一つ目は、ガンマ線バーストを利用した宇宙再電離史の解明手法である。
宇宙再電離過程の極端なシナリオとして、再電離が2回あったとするものがある。
その場合、z=20程度の天体のスペクトルに顕著な痕跡を残す可能性がある。
この可能性をガンマ線バーストのアフターグロウを光源として定量的に調べた。
結果、近赤外線分光観測のみならず、測光観測でさえ、宇宙再電離過程の詳細を
解明できる場合があることがわかった。二つ目は、銀河からの電離光子脱出率を
測定したものである。宇宙再電離過程にとって銀河からの電離光子は必須であると
思われるが、その脱出率はまったく不明である。そこで、地上大望遠鏡の
現有装置で観測可能なz=3銀河の電離光子フラックス測定を試みた。
VLTによる観測の結果、電離光子フラックスは検出できなかった。
検出限界から推定した脱出率の上限は約20%である。最後に、
銀河の電離光子脱出率の宇宙論的進化の可能性と
それを確かめるわれわれの新しい観測計画についても言及する。
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*3月1日(水)中野 寛之(大阪市立大学)

タイトル:シュバルツシルト時空中における質点の自己力の正則化
日時:3月1日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
未定
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*3月8日(水)吉田 直紀(名古屋大)

タイトル:宇宙最初期での原始星の形成
日時:3月8日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
標準的なLCDMモデルに基づいた構造形成シミュレーションを行い、
ダークハローの中での始源ガス雲の進化を調べました。得られた以下の
ような結果を紹介します。宇宙年齢にして1億年のころに50万太陽質量程度
のハローが形成され、その中心部でガスは冷却___収縮を始める。ガス
雲の中心部は収縮の途中で、密度がおよそ10^10 /cc と10^15/cc程度になった
ときに、それぞれ水素分子の回転遷移による冷却と衝突誘起放射によ
る冷却により熱化学不安定な状態になる。しかし分裂はおこらず単一のガス塊と
して進化する。(弱)乱流をともなう重力収縮の過程で初期に角運
動量の小さいガスは選択的に中心部へ落ちこんでいき、最終的に角運動量の小
さい(しかし0ではない)原始星雲が形成される。原始星周辺ガスの温度は高
く、ガスは自由落下に近い速度で降着するため、質量降着率は大きい。
これらの結果から、ハローの中で一つの大質量星(おそらく数十から1
00太陽質量)ができると推測される。その他の可能性、特に原始星
からのフィードバックなどを議論します。

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*3月15日(水)紀 基樹 (SISSA)

タイトル:Cosmic bubbles: Remnants of AGN jets
日時:3月15日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト:
Jets in active galactic nuclei (AGNs) are known as the dissipation
of kinetic energy of relativistic plasma outflows. The jet is slowed
down via shocks, then the shocked-matter envelopes the whole jet system.
This is so-called a ``cocoon" (also called as ``cavity", ``bubble").
I will present a new model of the AGN bubbles which describes their
dynamical evolutions and show some observational implications.

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*3月22日(水)Prof. Sanjeev V. Dhurandhar (IUCAA, India)


タイトル(Title): Issues in LISA data analysis
日時:3月22日(水)午後2:00から
場所:3階セミナー室

アブストラクト(Abstract):
I plan to begin with an introduction to LISA, the science that is
expected to come out of LISA - fundamental physics, astrophysics.
Then go on to discuss the laser frequency noise cancellation for
stationary LISA, the first generation TDI combinations. Then describe
the breathing modes of the arms of LISA and how this affects the
first generation TDI - the second generation TDI. How we can tweak
the parameters of LISA spacecraft to obtain minimum flexing of the
arms. The Sagnac effect which must be taken into account in the
cancellation of laser frequency noise. Then conclude.

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