宇宙における構造形成

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宇宙における構造形成

 ビッグバンから現在に至るまでの宇宙における構造形成の統一的解明をゴールとして、主に宇宙論的流体力学シミュレーションを用いて理論的研究を推進している。テーマとしては、大きく以下の3つに分けられる。

A)「初代銀河と再電離」
 現在、我々の標準宇宙論モデルにおいては、冷たいダークマター(Cold Dark Matter; CDM)とダークエネルギーに支配されていると考えられており、CDMによる構造形成がまず宇宙の構造の骨格を与えることはよく理解されている。そこで、現在のフロンティアはその宇宙の中でバリオン(すなわちガス)とCDMがどのように相互作用しながら、大規模構造や銀河などの形成が進んできたのかというところにある。我々の宇宙におけるバリオンの振る舞いを調べることにより、赤方偏移z=11からz=6頃の間に中性から電離した状態に大きく変化(「宇宙再電離」)し、そのために必要な電離光子は初代銀河や初代ブラックホールから放射されたらしいことがわかってきた。我々は、初期宇宙における銀河形成の宇宙論的シミュレーションを実行し、各銀河の星形成率やガス分布を考慮した輻射輸送計算を行うことで、初代銀河からどれだけの光子が脱出するのかを具体的に見積もっている。また、シミュレーション内の初代銀河がALMAやTMTなどの世界最大級の望遠鏡で観測可能かどうか吟味している。

B) 「銀河形成とフィードバック機構」
 銀河の成長を自己制御する物理過程として、大質量星や超新星爆発による「フィードバック」が注目されている。GADGET-3 Smoothed Particle Hydrodynamics (SPH)コードに組み込んでいる。また同時に輻射輸送過程において重要となるダストの形成・破壊プロセスも取り込んだコードを開発している。そして、孤立系円盤銀河のシミュレーションを実行し、超新星爆発による星形成の阻害、ガスのアウトフロー、重元素汚染などについて調べている。国際共同研究AGORA projectにも参加し、世界中の数多くの研究グループと銀河形成シミュレーション結果の比較検討も行っている。活動銀河核(Active Galactic Nuclei; AGN)として観測される巨大ブラックホールからのフィードバックについても同様に新しいモデルを開発している。

C)「巨大ブラックホールの形成と進化、およびAGNフィードバック」
 銀河形成に深い関連があると考えられているAGNフィードバックをよりよく理解する為に、巨大ブラックホールへの降着流の研究も行っている。そのガスが降着する際に、冷却過程によって強い輻射が放出される。我々は、その輻射が降着のガスダイナミクスに与える影響を調べている。また、初期宇宙において生まれる初代ブラックホールを比較的大きな質量で作るDirect Collapseシナリオについて、Enzo adaptive mesh refinement (AMR)コードを用いて高解像度流体シミュレーションを実行し、その実現可能性について研究している。